「仕事への積極性と協調性を」

              〜部長のあいさつ〜

 新入社おめでとう。諸君は、今日よりはじめて社会へでられるわけです。その意味で諸

君の一人一人が一人前になられる場を、当社に求められたことは、まことに意義深いもの

と思わざるを得ません。私も諸君の先輩の一人として、今日の諸君の気持はいささか理解

できるつもりでおります。重役、社長もまた過去には諸君のなかの一人であったわけで

す。

 諸君は幾多の関門を越えて入社することができた、いわばエリートな存在で、諸君のよ

うな優秀な人材を得られたことは、感謝にたえません。しかし、明日からの会社生活は、

けっして平坦な道ではないことを知っておいていただきたいと思います。

 ご承知のことと思いますが、現代のように企業間の競争のきびしい時代はありません。

企業の競争とは、会社対会社の競争ではなく、会社に属する人間の競争ということです。

その意味で、仕事に対する研究心や積極性が重要であるとともに、会社という社会の中で

の協調性ということもたいせつなことです。

 生産はオートメ化し、データはコンピュータがはじきだすとしても、経営という大きな

わくのなかの仕事は、すべて人間によるものだということです。だからこそ、仕事に生き

るよろこびが生まれてくるのだといえます。

 諸君にとくに頭に入れておいてほしいのは、悪い意味のサラリーマン根性をもつなとい

うことです。企業の中の協調性というのは、一人だけ先走らず、かってな行動をとらず、

会社全体を考えるということです。よくいわれる、休まず、遅れず、仕事せずというよう

なサラリーマン根性のことではありません。

 入社第一日めに、あまり説教調なのは感心しないことですが、諸君の前途は洋々たるも

のと同時に、予想以上にきびしいものがあることを先輩の一人として話したわけです。

 明日からは、諸君の若さを職場に注入し、当社の活力剤となっていただきたい。そして

社会生活の上で、諸君の若さを大いに活用していただきたい。

 

             

「組合員としての自覚を」〜労組委員長のあいさつ〜

 及川産業労働組合を代表し、執行委員長として、ひとことごあいさつを申し上げます。

 皆さん、入社、おめでとう。

 若いはつらつとした方々を、本日このようにお迎えすることができて、大変うれしく思

います。

 当労働組合は、ユニオン・ショップ制をとっていますので、皆さんは、入社日より6か

月後には、自動的に組合員になります。そこで、本日はかんたんではございますが、当組

合の考え方、あり方の基本をのべてごあいさつにかえたいと思います。

 組合についてのくわしいことは、いまお手もとに配布した「組合員のしおり」を読んで

いただき、わからないことは、各職場での職場集会の折などに、委員にたずねてくださ

い。この席で私の申し上げたいことは組合員は、組合員であるとともに、当社の社員であ

ることを一日たりとも、忘れないで行動してほしいということです。

 われわれ、中小産業の労働者は、業界の過当競争の中で生きぬくためには、己れの任務

を最高度に果たし働く内容に誇りと責任を常にもっていなくてはいけない。それが企業を

いかす道であり、われわれの生活の向上と労働条件の改善につながっていくのです。企業

の繁栄を基礎にして、労働者も経営者も繁栄するというのが、当労働組合の基本路線なの

です。

 このために、私たちは、経営者に対しても絶えず建設的な意見をのべ、企業の繁栄と労

働条件の改善に力をそそぎ、今日まで成果をあげております。

 やがて皆さんは、正式に組合員となるわけです。そのときにお願いしたいのは、組合費

をおさめたから、それで自分の責任はすんだ、あとのことは執行部の連中にまかせておけ

ばいいや、というような考えをもたないでほしい。もっと積極的に、組合活動に参加して

前向きに発展する労働組合になるよう、皆さんの若々しいエネルギーを、どんどんつぎこ

んでください。

 われわれ組合員一同は、そういう皆さんの活躍を大いに期待しております。


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