■働く仲間の会の会員の死を悼む

 

 つつしんで、△△会を代表して○○××君のご霊前に申し上げます。

つい一週間前には、僕等と談笑していた君が、突然の交通事故がもとで入院され、亡くなられようとは誰が想像できたでしょう。今でも君が、あのバネのように、特徴あるリズミカルな歩き方で、やって来そうな気がします。この四、五日、ただ無我夢中ですごして来た僕には、まだ半信半疑なのです。"△△会"のもっとも積極的な会員だった君、また模範的な店員として、立派な若い社会人として、常に地方出の私たち若い店員たちをリードし、働くもの全員の尊敬と信頼を一身に集めていた君が・・・。

 ○○君は昼間は酒屋で働き、夜は大学で法律を勉強しておられましたが、キビキビとした動作、ハキハキしたことばづかいが、店にいらっしゃるお客さまからも、また会員の皆からも好感をもたれ、親しまれていました。特に会での君は、良いことはどんなことでも積極的な努力をするが、不可能なことはハッキリ断るという、多分に言いにくいことをズバリ口にする性格でしたが、心に邪気がないからか、サラリとした感じで、誰彼なくつき合える魅力がありました。

 しかし、会員の心配事や悩みごとの場合には、自分のことのように親身の相談にのり、率先して解決の努力をしました。つい一か月前も、私の弟が突然上京したのですが、私は、店が創立十周年セールで、猫の手も借りたい忙しさで、なすすべもないところを、君が休みを返上して、弟の宿から観光の案内まで万端ひきうけてくれました。おかげで、弟はすっかり君のファンになってしまい、満足し切って帰郷しました。

 ○○君は、そんな人です。弟がこのたびのことを知ったら、どんなにショックを受けるでしょう。こんなこともありました一昨年でしたか、君と同郷の■■君が肺炎をわずらった折は、君は試験の真っ最中だったが、二晩も病室に付きっきりで看病されました。そのため君は、今年の課目の単位がだいぶ増えて、ひどく苦労をしていたようでしたが、明るい君の表情には、みじんのかげりもなかった。○○君はそんな人だったのです。君がこの町内の商店、会社につとめる地方出身の人々を説いて"△△会"をつくったのは、四年前でした。商店の主人や会社の重役を一人一人たずねて加入を説いてまわった、君の誠意と善意が実を結び、その発会式のあいさつで、君は壇上で、ただ、「ありがとうございます、ありがとうございます」を言って、紅潮した顔で、しばらく感きわまって黙ってしまった姿を思い出します。

 仕事に誠実だった君は、レクリエーションの計画、実行にも、実に細かいところに気を使う、誠実な人でした。どんなに疲れた日でも決して勉強を怠らない人だった。私達が、君によせた気持は、ある意味では肉親よりも親しいものであったし、「東京の兄貴」といった感じでした。私達を、孤独から救い、温かい心を与え、明るい生活と希望の人生を植えつけてくれたのも君です。その君を失った私達は、限りなく悲しい。しかし、君の心は、私達の心の中で、双葉をつけ花をつけ、実をつけるでしょう。さようなら、○○君。君の冥福を祈ります。


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