『喪主の挨拶 故人の妻』海難事故

故·〇〇の妻、△△でございます。
本日の合同葬に、こんなにもたくさんの方がたにご会葬いただきましたことを、心からお礼を申し上げます。
北国にも遅い春がやってまいりました。 故人の出漁の日の空が今日のように穏やかに晴れ渡っていたらなあと、帰らぬ思いを心に封じてこの空を仰ぎます。

 主人は「海の男」でございました。

3年前に1度、このたびと同じころに遭難いたしまして、そのときは、救命ボートで漂流の末、生きて帰ってまいりました。

 「お前と二人の子供を残して、勝手なことはできんからな」 そういって笑っていた夫の顔を、今でもはっきりと憶えております。
夫は海を愛しておりました。 海の男だから、海で死ぬのが本望だなどと夫が考えていたとは、私は思いたくありません。
それでも、今では、夫はあの大好きな海へ帰っていったのだと思うことにします。

あの海の向こうから 「△△、ごめんね」 と夫が呼んでいるような気がいたします。 皆さま、今日は本当にありがとうございました。

 『故人の長男」

一言ご挨拶を申し上げます。

私は故人〇〇の長男、△△でございます。

皆さま、本日はご多忙のところ、わざわざご会葬くださいまして、まことにありがとうございました。
そのうえ、ご丁重なご弔辞をいただきまして、故人の霊もさぞかし喜んでいることと存じます。

 父は〇〇県の農家の三男として生まれ、若くして独立、当地に生計の道を求め、妻をめとり、二男一女を育てました。

立身出世を求めぬ平凡な生涯でございましたが、多くの知己、友人に恵まれ、故人は生前「皆さまのおかげで幸せな日々を過した」と、口ぐせのように申していました。

ここに、故人に代わりまして生前のご交誼に対し厚くお礼を申し上げますとともに、今後とも私ども遺族のため変りなきご厚情をたまわりますようお願い申し上げます。

これをもちましてお礼の言葉といたします。