1 新郎の父母の謝辞

 

 遠藤宏の父として一言御礼申しあげます。

 今日は忙しいところ、ご来賓のみなさまをはじめ、お仲人様、親戚のみな様のご参会下さいまして、まことにありがとうございました。お陰さまで若い二人には一生一代の盛儀となり、深い感激として残るにちがいありません。宏は長男でございまして、わが家の家系ならびに祖先の祭事を相続する者でございますが、当分の間、若夫婦だけの世帯を新山団地に持たせることにいたしました。これからは会社への勤務も、その新居からかようことに相成ります。

 今までは親の家からの通勤でございますので、いわば世間の風当りを少しも受けない温室の作物みたいなものでしたが、これからは温室の外に出て生きるものとして、世間という強い風当りも受けねばならなくなります。その風当りにどのようにたえてゆき、一家のあるじとして自分をどのように開発してゆくか、それは今日ただ今から、二人の前に展開する新しい人生コースでございます。

 そのコースについて本日皆さまからいただきました数々のご祝辞やご教示は、必ずやよき指針となって、二人に正しい道筋を会得さすものでございましょう。

 何と申しましても世間知らず、というラベルのなかなかとれない若夫婦でございますので、今後ともよろしくお導き下さいますよう、お願い申しあげます。

 本日はまことに粗酒、粗餐、不行届きの次第は平にお許し願います。本日はどうもありがとうございました。

 


 私は喬士郎の父でございます。

 本日は、ご来賓の皆様をはじめ、ご媒酌人、親戚の皆様には、このように多数ご列席をいただき、その数

々のありがたい祝福とはげましのおことばをいただきまして、二人の者はもちろん、私どもも身に余る光栄

と、厚く御礼申しあげます。

 かえりみますと、私が結婚いたしましたのは30才で、それも昨日のことのように思えます。今、喬士郎の

立っている場所で「しっかりやるぞ、やらねばならんのだ」と厳粛な気持になっていたことを思い出します。

以来、いろいろと道草をくいましたが、20年の月日が流れました。

若さほどおそろしいものはございません。ずい分むちゃなことも平気でやり、失敗や

苦労も人並みにいたしました。その度に、皆様方からお叱りを受け、はげましをいただいて、どうやら今日

に至りました。厚く御礼を申しあげます。

 喬士郎も本年28才でございます。

 この未熟な船長は、ご媒酌の吉田様が一方ならぬ苦労の末、お世話くださった立派な舵手(だしゅ)の冴子さん

と手を取り合って、潮風にはためく旗を仰ぎ、皆様のおことばを胸に、人生の厳粛な船出の誓いを立て

ています。しかし、何分にも未熟な船長とかじとりのことでございます。近道をしよう、新航路を発見しよ

うとあせりもしましょうし、荒れ狂う航海に苦労をすることと思います。

 ご列席のみな様、その節は、どうぞ私どもに与えてくださったように、「それくらいで負けるな」とはげ

ましてやってください。私も、本日ただいまより″はえば立て、立てば歩め″の甘い親心を捨てて、

私の人生の友として、独立した二人をはげましてやりたいと思っております。

 本日は、いたらぬことも多く、粗酒、粗肴のこの席に、多くのおさとしをいただきまして、厚く御礼申しあげます。

ありがとうございました。


 本日××、○○子両名の結婚ご披露に際しまして、かくもにぎにぎしくご臨席をたまわり、まことにありがとうございました。

 先刻来、新夫妻両人に対しまして、皆様方からお祝いやら、お誉めのお言葉やら、励ましのお言葉やら、あたたかいご訓戒やらをたくさん頂戴いたしまして、身にあまる光栄と存じ、ありがたくお礼申しあげます。

 両名はなにぶん、まだ世間知らずの未熟者同士でございます。新家庭を築いていくこれからの人生行路には、皆さまのご援助とご鞭撻をいただかなくては、とうてい、おぼつかないのでございます。まことに勝手なお願いではございますが、どうぞ、このうえとも、ご配慮がいただけますようお願い申しあげます。

 実は両名は、婚約以来今日まで一年の期間がございました。あまり長すぎるのではないか、という話が再三でましたが、両名にとっては、本当に長い間の辛抱だっただけに、本日ようやく、めでたい日を迎えることができまして、その感激もひとしおのことと思いますが、この間終始お世話になりましたご媒酌の○○様ご夫妻に、改めて厚くお礼申しあげます。

 はなはだ簡単ではありますが、これをもってお礼の言葉といたします。ありがとうございました。


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