本日はおめでとうざいます。

 新郎の黒板五郎君はわが杜の山岳部員であります。われわれは彼を命綱(いのちづな)とよんでいます。

 彼の山に対する執念は、あくことのない研究と、実に用心過ぎるくらいの緻密な計画をつくる点で、定評があります。わたしどもが自分の気づかない身体的な特徴や耐久力、根気や決断力まで見破られておりまして、ちゃんと彼の綿密な計画のなかに折り込まれているというぐあいです。お陰で五年間、わが山岳部にはわずかの失敗もなかったのです。あらためて感謝します。

 もう一つの特徴は、山を降りてから、その山を分析し、愛し、記録することです。実に真剣に研究するのです。

 彼は、有名なアルピニスト、ジャン・コストのように「一人の女性を愛するように山を愛した」のです。そして今度は、「山を愛したように一人の女性を愛する」でしょう。

 こんなぐあいですから、わたくし達は、静佳さんにお会いする前から静佳さんを知っていたといえます。悩まされどおしだったわけで、ここに参ります途中でも、これで静佳さんに悩まされることからは開放されるだろうと話し合ってまいりました。しかし、研究熱心な彼のことですから、「静佳さんが「静佳」に変わるだけで、われわれはやはり悩まされるのではないかという警戒もしています。しかし、美しく聡明な静佳さんという山はいかに研究熱心の彼が一生かかってもきっと征服はできないでしょう。

 静佳さんどうか彼に頂上をきわめさせないでください。いつも温かい広いふもとで彼のトレーニングを励まし、勇気づけてください。

 本日はご招待ありがとうございます。


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