ご結婚おめでとうございます。

 秀二君もとうとう、綾子さんの前には、無条件降伏をされてしまったようです。と同時に、綾子さんもいっしょに陥落されてしまったようです。

 そこで、ご指名を受けて席を立ちましても、これといって言うべきこともないのですが、これからはお二人で優れた家庭を創り出すように、せいぜい努力してください。どうしてこんなことを言うのかと申しますと、優れた家庭を創り出す人は、幸福な結婚をしている人のうちでも、そんなに多くはいないということを私は知っているからなのです。

 もちろん、お二人とも十分にそのことについては考えていらっしゃることと思いますが、家というものについては、始終訂正が加えられて、そしていくらでも努力のしがいがあるものだということに、きっと気づかれるときがあると思います。

 私が申しあげる家というのは、英語でいうハウス(house)ではなく、ホーム(home)のことです。すなわち生活をする場所でもあるし、無意識に帰っていく場所です。帰るところ、それが家です。朝出かけて、夕になると帰る。みなれた家具が並び、朝晩あけたてする戸の、どの辺が具合が悪いかもすっかり分かっている自分の家、それをいつも優れたものにしようとする努力をもってください。

 家は放っておいても、すぐにくずれることはないでしょうし、そうなったときには応急の処理をする方法はいくらでもあるのです。しかしそれをするにしても破れたからしぶしぶつくろうのではなくて、意欲を持ってすることです。

 何ですかこう話してまいりますと、自分の意欲の足りなさがよく分かるのですが、どうか若いお二人には私を戒めの材として、お二人の優れた家庭を創り上げていってください。

 結婚式をあげるということは、一生の営みの中で、一つの段落にすぎないのですから、これから先に果しなく続くお二人の生活は、お二人の手と足で、お二人らしい生活をはじめてください。ままごとではなくなったのですから、無理な呼吸をせずに、暮しの設計をしたり、新しい発見をしたりしながら、居心地のよい家をつくってください。お幸せを祈ります。本日はお招きをありがとうございました。


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