幸子さん本日はおめでとうございます。

 日ごろから尊敬できる方だと話しておられた村田さんと結ばれて、ほんとうにおめでとうございます。さきほどから村田さんのお友達の方々のご祝辞をうかがっておりますと、男性は七人の外敵の中でとにかく大変な苦労をしているのだから、奥さんはそれを理解してあげて、多少のおつき合いは認めなさいというお言葉が多くあったようでございます。私も結婚してもう三年になりますが、どうもそのお言葉には承服しかねるものがございます。

 個人的なことを申し上げて恐縮でございますが、私の夫は、M工業の技師ですので、工事が地方にあるときは、長いときは一年、短いときは一週間とか二週間という具合に、家を留守にすることがとても多いのでございます。結婚して夫のいない家ほど、味気なくわびしいものはございません。これは職業がらしかたがないと現在では諦めておりますが、そうなるまでにはとても幸いものでした。

 ですから幸子さんのご主人のように、朝家を出て夕方帰られる職業の方がとてもうらやましいと思うのです。それでも新婚の当時は、一人で夕方まで家にいるということはとてもさびしいものです。それをまたおつき合いだから、新婚だから早く帰れないというのでは、幸子さんが可哀そうです。

 村田さんに幸子さんの友人としてお願いしたいのは、つまらない男の意地や見栄のために、幸子さんをさびしくさせないでくださいということです。半年もたてば、生活も順調に流れ出しますが、新婚三か月くらいまでは来客も多く、また出かけることも多く、とてもお互いにつかれるものです。

 村田さん、そんなときにこのおとなしい幸子さんをよろしくお願いいたします。夫婦の良さとは、お互いの心を暖め合って、より添っていけるところにあると思うのです。

 ご年輩の方々を前にして、どうも生意気なことを申し上げましたが、これも幸子さんのことを思えばこその友情と思って、お許しくださいませ。


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